市場機会を発見するためのフレームワーク(3C分析、PEST分析、SWOT分析)

市場機会を発見するためのフレームワーク(3C分析、PEST分析、SWOT分析)
本記事のテーマ
会社を経営する上でのマーケティング戦略の全体像に記載したとおり、マーケティングには大きな流れがあります。
その中で、この記事は、市場機会を発見するためのフレームワーク(3C分析、PEST分析、SWOT分析)について記載したものです。
これから起業したいと考えている方や、初めてマーケティングを担当する方の参考になれば幸いです。
市場機会を発見する
市場機会とは
マーケティング戦略の入り口になるのが市場機会です。
マーケティング戦略を計画・実行する前に、まずは市場機会を発見することが重要です。
市場機会とは、簡単に言うと自社にとってのチャンスです。
市場機会を発見するためには、市場環境の理解が不可欠です。市場環境に変化があるからこそチャンスがあるのです。
そこで、市場環境を理解して、自社にとってのチャンスを発見し、マーケティング戦略を計画・実行します。
市場環境について
会社を経営する上でのマーケティング戦略の全体像でもご紹介しましたが、市場環境には、外部環境と内部環境があります。
外部環境とは
外部環境は、自社ではコントロールできない外部の環境のことです。
具体的には、人口動態(年代、性別、世帯構成等)、経済(経済成長率、個人消費等)、個別業界動向(売上高、業界構造等)、自然環境、技術環境、政治・法律、文化、治安等のことで、これらを分析するための主なフレームワークとしては、PEST(political(政治・法律)、economic(経済)、social(社会)、technological(技術))分析があります。
また、市場規模、市場成長性、市場構造、顧客ニーズ、競合他社の強みや弱み、参入障壁、競合の製品等の環境を分析するための主なフレームワークとしては、3C(Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社))分析があり、この中でも顧客と競合が該当します。
内部環境とは
内部環境は、自社でコントロール可能な経営資源のことです。
具体的には、経営戦略、企業文化、製品、市場シェア、マーケティング戦略、人、資金力等のことで、これらを分籍するためのフレームワークとしては、SWOT(Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威))分析があります。
また、3C(Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社))分析では、自社の分析が内部環境の分析に該当します。
PEST分析
PEST分析とは
PEST分析とは、political(政治・法律)、economic (経済)、social(社会)、technological(技術)の視点で分析を行うフレームワークで、「外部環境」のうち自社でコントロールすることのできない「マクロ環境」を分析し、自社に与える影響を把握したり予測することが目的です。
political(政治・法律)
Politicalでは、政治や法律の面から分析を行います。
現在の政治や法律が、自社のマーケティング戦略に今後どのような影響があるのかを検討します。
政治や法律の変化は、市場競争の勢力図が大きく変化するタイミングです。
特に、スタートアップでは、意思決定スピードが早く迅速な対応が可能なので、スタートアップを経営する上では是非とも追い風にしたいポイントです。また、法的にグレーゾーンとなっている領域は、大企業が参入しづらいことから、スタートアップにとって有利になります。
economic(経済)
economicでは、経済面から環境分析を行います。
日本国内や世界的な経済の成長率や株価、金利、個人の消費動向などを分析して市場機会を発見したり、経済の変化により受ける損害を最小限に抑えるための戦略を検討します。
また、個人の消費動向を把握することで、自社のプロダクトの方向性を見定め、売上拡大を狙います。
政治や法律の変化と同様に、スタートアップでは、意思決定スピードが早く迅速な対応が可能なので、経済面の大きな変化は有利な環境です。
social(社会)
socialでは、個人のライフスタイルや消費動向の変化を分析します。
例えば、インターネットやスマートフォンの普及、SNSの活用等、個人のライフスタイルや消費動向が変化したことによって多くのスタートアップ企業が成長しました。
ライフスタイルの変化や消費動向の変化は、新たなニーズが発生しやすいので、市場機会につながる可能性が高いです。
technological(技術)
Technologyでは、技術面からの分析を行います。
技術の発達がsocial(社会)やeconomic(経済)に影響を与え、political(政治・法律)に変化を与えることが多いです。そのため、いち早く技術の発展をキャッチアップして、自社の市場機会につなげることが重要です。
3C分析
3C分析とは
3C分析とは、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点で分析を行うフレームワークで、外部環境や競合の状況から事業のKSF(Key Success Factors:成功要因)を導き出すことが目的です。
Customer(顧客)
ここでは、市場環境を分析して、顧客ニーズを明らかにします。
PEST分析によって得た理解をもとに、顧客のニーズを把握して、市場機会の発見につなげます。
プロダクトに関わる顧客の動向を分析して、具体的な顧客の行動を把握します。
Competitor(競合)
PEST分析やCustomer(顧客)の把握によって、市場環境の変化と顧客のニーズを把握できたら、競合がそれらにどのように対応しているのかを分析・把握します。
例えば、競合のWebサイトの流入結果がどのように変動しているかを分析したり、上場会社であれば有価証券報告書を開示しているため、市場の変化に伴って財務数値がどのように変化しているのかを把握すると良いです。
また、マーケティングミックスの視点で競合を分析するのも効果的です。
財務数値の分析については、以下の関連する記事をご参照下さい。
公認会計士が教える、誰でも分かる財務分析の基本
また、マーケティングミックスについては、以下の記事をご参照下さい。
スタートアップで実践するグロースハックの方法
会社経営する上での価格戦略(プライシング)の全体像
会社経営する上でのプロモーション戦略(コミュニケーション戦略)の全体像
チャネル戦略とは?O2O、オムニチャネル、OMOの違いについて
Company(自社)
市場環境の変化、顧客ニーズ、競合分析ができたら、それを基に自社の戦略を検討します。
市場の変化に対して競合が行っている戦略と、自社の戦略を比較して分析を行うことが効果的です。
SWOT分析
SWOT分析とは
SWOT分析とは、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の視点で分析を行うフレームワークで、「強み」と「弱み」の内部環境と、「機会」と「脅威」の外部環境を総合的に分析し、マーケティング戦略構築の基盤にします。
Strengths(強み)
3C分析の自社分析で得た競合と比較した結果を参考にして、プロダクト、ブランド、人、組織、パートナー等の視点から、自社の強みを分析します。
Weaknesses(弱み)
反対に、3C分析の自社分析で得た競合と比較した結果を参考にして、自社が苦手とする部分を洗い出し、自社の弱みを分析します。
Opportunities(機会)
PEST分析や3C分析の結果を参考にして、自社にとって有利な環境変化や、変化に対する競合の戦略を分析し、自社にとっての市場機会を発見します。
Threats(脅威)
反対に、自社にとって不利な環境変化や、競合の戦略を分析し、自社にとっての脅威を把握し対策を講じます。
まとめ
以上、今回は、市場機会を発見するためのフレームワーク(3C分析、PEST分析、SWOT分析)について解説しました。
これから起業したいと考えている方や、初めてマーケティングを担当する方の参考になれば幸いです。
なお、分析にあたっては、以下の関連する記事をご参照下さい。
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