デジタルマーケティングでカスタマージャーニーをハックする

デジタルマーケティングでカスタマージャーニーをハックする
本記事のテーマ
この記事は、デジタルマーケティングの全体像を記載したものです。
以前に、会社を経営する上でのマーケティング戦略の全体像という記事を書きましたが、その中で、今回はデジタルマーケティングの全体像について記載したいと思います。
デジタルマーケティングの導入を検討されている方や、デジタルマーケティングに興味がある方の参考になれば幸いです。
デジタルマーケティングの前提となる消費者行動やカスタマージャーニー
はじめに
デジタルマーケティングとは、インターネット等を利用するマーケティング全般のことです。
既存顧客や潜在顧客とつながる手段として、検索エンジンやSNS、ウェブサイト、Eメールなどのチャネルを活用し、顧客の行動を促すことが目的です。具体的な話に入る前に、少し消費者行動やカスタマージャーニーについて解説したいと思います。
消費者行動
消費者行動には、伝統的にはAIDMAやAISAS等があります。
AIDMAは、Attention,Interest,Desire,Memory,Actionの頭文字の略で、消費者はまず何かしらのキッカケで商品・サービスの存在を知り(Attention)、興味 ・関心を持ち(Interest)、欲しいと思うようになり(Desire)、商品を記憶して(Memory)、最終的に購買する(Action)、という購買プロセスを経るという考え方です。
AISASは、考え方のベースはAIDMAで、購買プロセスにインタ ーネットが深く関与する時代に使われるようになった考え方です。Attention,InterestまではAIDMAと全く同じ考え方です、興味・関心を持ったら検索し(Search)、購買に至って(Action)、体験や感想を共有する(Share)という購買プロセスを経るという考え方です。
マーケティング4.0と5A理論
マーケティングの神様と称されているフィリップ・コトラーは、著書『マーケティング4.0』の中で、5A理論を提唱しています。5A理論は、カスタマー・ジャーニーは認知(aware)、訴求(appeal)、調査(ask)、行動(act)、推奨(advocate)の5Aからなるというものです。
- 認知段階
顧客は、過去の経験、マーケティング・コミュニケーション、それに他者の推奨から、たくさんのブランドを受動的に知らされる。これは、カスタマージャーニー全体の入り口。 - 訴求段階
いくつかのブランドを認知すると、顧客は次に、自分が触れた全てのメッセージを処理し、小数のブランドにのみ引きつけられる。 - 調査段階
魅力を感じたブランドに付いて積極的に調べ、友人や家族から情報を得る。顧客は情報を求めてさまざまなチャネルを訪れる可能性があるので、企業は少なくともよく利用されているチャネルでは対応できるようにしておく必要がある。調査段階において、カスタマー・ジャーニーは個人的なものから社会的なものへと変わる。意思決定は、顧客が他者とのカンバセーションから得る情報に基づいて下される。ジャーニーを継続するためには、ブランドの訴求力を他者が確認してくれる事が必要。 - 行動段階
調査段階で得た詳しい情報に納得したら、顧客は行動を決意する。望ましい顧客行動は購買行動だけではないことを忘れてはならない。特定のブランドを購入したあと、顧客は消費や使用を通じてはもちろん、アフターサービスを通じても、当該ブランドとさらに深く交流する。 - 推奨段階
顧客は時とともに、ブランドに対して強いロイヤルティを持つようになるかもしれない。それは、顧客維持率、再購入率、そして最終的には他者への推奨率として表れる。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、ペルソナ(代表的な顧客の人物像)の動き(行動・思考・感情)を時系列で可視化したものです。
スタートアップの各ステージ(Seed〜SeriesC)において注意すべきことでも記載したように、スタートアップにおいては、ペルソナを定義してカスタマージャーニーを把握し、顧客がどのような課題を抱えているか、その課題を解決するためにはどのようなソリューションが必要かといったことを検討します。
ここで、マーケティングの文脈におけるカスタマージャーニーの役割は、ペルソナの動きを可視化することで、顧客とのタッチポイントを洗い出し、適切な場所・タイミングで適切な情報を伝えることができるようにすることです。
デジタルマーケティング
デジタルマーケティングとは
前置きが長くなりましたが、ここで改めてデジタルマーケティングとは何かという話をします。
デジタルマーケティングは、インターネット等を通じたサービスの提供により、顧客のカスタマージャーニーにおける各行動をデータとして収集・分析し、適切な場所・タイミングで適切な情報を伝えることで、顧客との関係を構築することです。
デジタルマーケティングを活用する
デジタルマーケティングの目的は、個々の顧客の行動に応じて、適切なマーケティングアプローチをすることです。
そのために、全ての顧客行動について、誰がいつどのような行動を取ったのか、細かくログを収集します。
ログを収集する範囲は、最初のタッチポイントからその後の顧客の行動全てが望ましいです。
そうすることで、認知した人がどのような経緯でどのような行動を起こすのかを数値化することができます。
顧客の数が増えると、顧客の行動をパターン化することができるかもしれませんし、想定していなかった行動パターンから新たな仮説やニーズが顕在化するかもしれません。
また、顧客の行動パターンに応じて的確なマーケティングアプローチを取ることができるようになります。
さらに、このように、デジタルマーケティングを活用してデータドリブンなマーケティングを行い、成果をトラッキングすることで、マーケティング投資の判断材料にもなります。効果測定をしていくことで、どの活動が成果を生み、どれが生まないかを明らかにし、効果的な活動に費用を集中していくことが可能になります。
なお、関連する項目として、One to OneマーケティングやCRM等がありますが、また別の機会で記事にしたいと考えています。
また、ユーザー行動をデータ分析してプロダクトを改善しようという考え方のグロースハックについて記載した記事がありますので、こちらも是非ご参考にして下さい。
スタートアップで実践するグロースハックの方法
データドリブンなマーケティングにおける主要な指標
ブランド認知率
ブランド認知は、アンケートやインタビュー等で、「最初に想起するブランド名」や「他に聞いたことがあるブランド名」を質問することで測定します。
ブランドを認知している人の数が入り口になるので、認知を向上するためのマーケティングを行います。
認知を向上するためのマーケティングの効果は、Webサイトの訪問者数や広告のリーチ数、イベントの参加者数等で測定します。
サービスのお試し使用
顧客が購買行動を起こすまでに比較検討段階があるのですが、通常はここで比較検討のマーケティングを行い、サービスのメリットとコストを提示します。
ただ、この際に問題になるのが、比較検討から購買までの間にタイムラグがあることと、比較検討のマーケティングと実際の購買を紐付けるのが難しいことです。
そこで、サービスのお試し使用を行い、購買までに実際に使用してもらうことで、比較検討のマーケティングの効果を測定します。お試し使用とは、具体的には「登録後〇〇日無料」のようなイメージです。
コンバージョン率
マーケティングの目的に応じる顧客の比率です。
例えば、ダイレクトメールなどを通じて100人に対してマーケティングを行い、受け取った100人のうち5人が応じた場合、コンバージョン率は5%になります。
解約率
近年流行しているサブスクリプションモデルでは、いかにサービスの利用を継続してもらうかが重要です。
解約率を下げることができれば、年間売上の上昇に直接的に影響するので、積極的に改善したい指標です。
NPS(ネットプロモータースコア)
NPSは、顧客が知人にサービスを紹介してくれるかを測定し、顧客満足度を表す指標です。
アンケートなどで顧客に対して「あなたはこの製品を友人に勧めますか?」と質問して、0〜10の11段階の評価数値で回答してもらいます。その中で0〜6点を付けた人を「批判者」、7〜8点を付けた人を「中立者」、9〜10点を付けた人を「推奨者」と分類し、「推奨者」の比率から「批判者」の比率を引くことで得られる数値がNPSです。
まとめ
以上、今回は、デジタルマーケティングについて解説しました。
デジタルマーケティングの導入を検討されている方や、デジタルマーケティングに興味がある方の参考になれば幸いです。
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