スタートアップの各ステージ(Seed〜SeriesC)において注意すべきこと

スタートアップの各ステージ(Seed〜SeriesC)において注意すべきこと

スタートアップの各ステージ(Seed〜SeriesC)において注意すべきこと

本記事のテーマ

この記事は、スタートアップを起業するにあたって、各ステージのアクションプランや注意すべき点をまとめたものです。
これから起業を考えている方やスタートアップを目指す方の参考になれば幸いです。

スタートアップのステージについて

スタートアップのステージと資金調達額

スタートアップのステージには、主に、Seed、SeriesA、SeriesB、SeriesCがあります。
各ステージにおいて時価総額の目安は、以下のとおりです。

ステージ 時価総額
Seed 〜3億円
SeriesA 3〜10億円
SeriesB 10〜40億円
SeriesC 40〜100億円

スタートアップの各ステージにおける注意点等

スタートアップのステージ(Seed)

Seedでの主な目標は、事業の構想です。
このタイミングでCPF(Customer Problem Fit)やPSF(Product Solution Fit)を達成することが重要です。

CPF(Customer Problem Fit)

CPF(Customer Problem Fit)とは、ペルソナを想定し、仮説検証によって顧客の課題を明確にした上で、その課題がどれほどの痛みを伴うものなのか検証することです。課題は痛みを伴うものであるほど良いです。具体的には、ペルソナを想定して、カスタマージャーニーを作成し、アンケートやテストマーケティング、インタビュー等によって課題を深堀りします。
なお、そもそも市場機会を発見する方法については、以下の関連する記事をご参照下さい。
市場機会を発見する(3C分析、PEST分析、SWOT分析)

PSF(Product Solution Fit)

PSF(Product Solution Fit)とは、CPFで特定した課題を解決するソリューション(プロダクトやサービス)を検証することです。具体的には、その課題を解決できる必要最小限の機能(Nice−to-haveの機能を除外して、Must-haveの機能のみに絞り込む)を持つソリューションを洗い出して、LPやプロトタイプを作成し、実際にユーザーの声を聞いてUX設計を磨いていき、MVPを特定して短い期間で仮説検証サイクルを回していきます。
CPFやPSFについて、関連する記事を是非ご覧下さい。
スタートアップを実践して学んだ仮説検証の方法

前置きが長くなりましたが、Seed段階においては、以下の点に注意してプロダクトの完成(MVP開発)、初期ユーザーの獲得を目指します。

チームメンバーの確保

スタートアップにおいては、チームメンバーが重要です。
事業遂行能力や事業推進に対するコミットメントが高いことが大事です。

テストマーケティング

コアバリューは、「Nice to Have」ではなく「Must Have」であることが大事です。
ユーザーヒアリングやアンケート等で課題の洗い出しを行い、テストマーケティングを実施して、解決する課題の検証を行い、課題を明確にした上でMVPを特定します。
また、市場が魅力的か(市場規模(TAMやSAM)は十分に大きいか?市場の変化率は高い(変化率が高いとスタートアップは戦いやすい)か?)、自社の得意領域で勝負しているか(原体験の有無や、業界の理解)、自社でどこまでやるか明確か(プロダクト価値や競争優位を確保し、かつ、投資リソースを最小化させる事業領域)、参入障壁をどのように構築するか、等も併せて検討します。

なお、仮説検証の方法については、以下の関連する記事をご参考にして下さい。
スタートアップを実践して学んだ仮説検証の方法

プロダクトの完成(MVP開発)

「Must Have」の課題を解決する最低限のプロダクトを開発します。
ここでは、仮説検証サイクルを短いスパンで回すことが大事であるため、プロダクトを作り込みすぎないことに注意します。

なお、起業してシステム開発をするにあたっての失敗談も別の記事に記載していますので、是非ご参考にして下さい。
スタートアップでシステム開発に失敗する原因と体験談

また、失敗を踏まえて、スタートアップの開発で注意すべき点をまとめた記事がありますので、こちらも是非ご参考にして下さい。
スタートアップの開発において注意すべきこと

初期ユーザーの獲得

プロダクトが完成したら、初期ユーザーを獲得してMVPの検証をするとともに、UXの磨き込み等によりユーザー体験を最大化します。

なお、起業にあたっての失敗談を記載した記事がありますので、こちらも是非ご参考にして下さい。
スタートアップで起業に失敗する原因と体験談

スタートアップのステージ(SeriesA)

SeriesAでの主な目標は、マーケティングの構想です。
マーケティングについては、以下の関連する記事も是非ご覧ください。
会社を経営する上でのマーケティング戦略の全体像

また、ここでは、PMF(Product Market Fit)を達成して、マーケティングの構想を行い、スケールするための準備を行います。

PMF(Product Market Fit)

PMF(Product Market Fit)とは、簡単に言うとプロダクトをスケールできる状態にすることです。具体的には、ユニットエコノミクスを健全化することと、ユーザー満足度を最大化することです。
ユニットエコノミクスを健全化することは、一般的には、LTV(Life Time Value)を引き上げることと、CPA(Cost Per Acquisition)を引き下げることです。
LTVとは、「顧客1人あたりから得られる利益」のことです。具体的には、マネタイズをどうするか(マネタイズ手法や価格設定等を検討して、最も収益が最大化する方法を検討する)、購入頻度を上げるためにはどうするかや、サブスクリプションモデルの場合は解約率をどのようにして下げるか検討する、粗利率を改善する等の施策を検討します。
CPAとは、「顧客を獲得するための費用」のことです。具体的には、マーケティング手法(オウンドメディア構築、Web広告、SNS広告、紙媒体での広告、TVCM、ラジオCM、DM等)を検討して、顧客を獲得するための費用をいかに下げるか検討します。また、一般的には、AHAモーメントを見つけ、それを顧客に達成してもらうこと等の施策もあります。

前置きが長くなってしまいましたが、SeriesA段階においては、主に以下の点に注意します。

マネタイズ方法の確立とARPU(顧客単価)、継続率(利用頻度)の把握

ユーザー体験が最大化されていれば継続率が高まるはずなので、継続率を継続的に把握します。
そして、ユーザー体験を最大化した後、ARPU(顧客単価)を指標に、マネタイズ方法を確立します。

テストマーケティング開始とCPA(顧客獲得コスト)の把握

LTV(顧客当たりの生涯価値)の最大化のためには、上記のようにURPU(顧客単価)を最大化するか、または、CPA(顧客獲得コスト)を最小化します。テストマーケティングによって、CPA(顧客獲得コスト)を把握して、改善していきます。

CFOの採用

資金調達や上場準備にあたって、事務手続き等の負担が増大するため、このタイミングでCFOの採用を検討します。
なお、CFOの役割等について記載した記事がありますので、是非ご覧下さい。
スタートアップにおけるCFOの役割や業務の全体像

スタートアップのステージ(SeriesB)

SeriesBでの主な目標は、スケールすることです。

顧客獲得手段の確定、獲得費用の効率化

これまでテストマーケティングにより、LTV(顧客当たり生涯価値)の最適化を目指しましたが、このタイミングで、顧客獲得手段を確定し、獲得費用を効率化します。

マネタイズ方法の多様化

マネタイズ方法は多い方が良いです。SeriesAでのマネタイズ方法以外に、マネタイズ方法が無いか検討して多様化することで、スケーラビリティ確保します。

属人経営から組織経営へのシフト

企業規模拡大に伴い、創業者の属人経営からの脱却を目指します。

単月黒字化

以上を達成して、単月黒字化を目指します。

スタートアップのステージ(SeriesC)

SeriesCでの主な目標は、利益拡大です。

収益性、成長率の改善

ここまで来たら、いよいよ、IPO(上場)に向けての準備です。収益性と成長率の改善を目指します。
2桁億円以上の営業利益の達成が目標です。
上場後の投資家視点の収益性や成長性という観点から、財務分析の基本について書いた記事がありますので、こちらをご参考にして下さい。
公認会計士が教える、誰でも分かる財務分析の基本

上場準備

上場する市場の基準をクリアして、主幹事証券会社の審査や、監査法人の監査を受けなければなりません。
上場準備については、以下の関連する記事を是非ご覧ください。
スタートアップのIPO準備(上場準備)について

まとめ

今回は、スタートアップを起業するにあたって、各ステージのアクションプランや注意すべき点を記載しました。
これから起業を考えている方やスタートアップを目指す方の参考になれば幸いです。

なお、近年のIPOの状況についてまとめた記事がありますので、こちらも是非ご参考にして下さい。
近年のIPOの状況と分析(2019年版)