株式会社ツクルバ設立からIPOまで

株式会社ツクルバ設立からIPOまで

株式会社ツクルバ設立からIPOまで

本記事のテーマ

近年IPOに成功したスタートアップの内、特に設立から短期間で上場した会社をピックアップして、どのような会社が短期間で上場するのか、短期間で上場するためにはどのようなことが必要なのかという視点で、設立からIPOまでのタグで連載しています。
なお、スタートアップの各ステージ(Seed〜SeriesC)において注意すべきことという記事で、会社設立からIPOを目指す上での大きな流れを記載していますので、是非ご参考にして下さい。
今回は、株式会社ツクルバです。

株式会社ツクルバ

共同創業者である村上氏と中村氏により、「「場の発明」を通じて欲しい未来をつくる。」という理念のもと、株式会社ツクルバを2011年8月に設立し、2019年7月に設立から約8年で上場しました。
2011年10月にスタートした「co-ba」は、「co-ba network」として全国に展開し、最初の「co-ba shibuya」以外はフランチャイズで展開をしています。
創業当初から4期目までは、デザインの受託やコワーキングスペース(co-ba)の事業を展開する会社でしたが、2015年6月より主力事業である中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」の正式版をリリースし、「スタートアップ」としてのツクルバへ舵を切りました。

上場、そして「場の発明」をめざして。《ツクルバは、共に社会課題を解決し新しいスタンダードをつくるエンジニア/デザイナーを求めています。》

ツクルバの沿革について

  • 2011年8月:株式会社ツクルバ設立
  • 2011年12月:東京都渋谷にコワーキングスペース「co-ba shibuya」を開業
  • 2015年1月:ITを活用したリノベーション・中古住宅の流通プラットフォーム「cowcamo」β版を公開
  • 2015年6月:「cowcamo」正式版を公開、オンラインメディア「cowcamo magazine」の提供を開始
  • 2017年11月:「cowcamo」にて事業者向けデータ提供サービスを開始、「cowcamo」のiOSアプリを正式公開
  • 2018年3月:「cowcamo」にてパートナー仲介事業者との連携開始
  • 2018年7月:「cowcamo」のAndroidアプリを正式公開

ツクルバが解決した課題

共同創業者の村上氏と中村氏は、2011年2月に小さなカフェを作ったのですが、開業した翌月の3月に東日本大震災が起きました。
「いつ死ぬかわからないなら、今すぐに、思い切り好きなことをやろう」ということで、株式会社ツクルバを設立し、最初の事業としてスタートしたのが「co-ba」です。
サンフランシスコで「コワーキング」というワークスタイルを体験したときに、こんな場所を日本にもつくりたいという思いがきっかけで、クラウドファンディングの「CAMPFIRE」を用いて資金を募り、「co-ba shibuya」を立ち上げたそうです。

co-ba事業での企画・設計・運営までを一貫して行う空間プロデュースの実績を活かして、空間デザイン・プロデュースの専門組織「tsukuruba design」が発足し、多くの施設・オフィスをプロデュースすることになります。例えば、株式会社メルカリや株式会社アカツキのオフィスデザインはツクルバがプロデュースしたそうです。

そんな中、co-baで「働く場所」を、カフェで「集まる場所」を作っているのに、「住む場所」についてはアプローチできていなかったことから、住環境に対しての事業としてスタートさせたのが「cowcamo」です。

「場の発明」を掲げるツクルバは、どんな「場」で日々クリエイションをしているのか?

上場時の主たる事業は、この「cowcamo事業」と「シェアードワークプレイス事業」の2本柱となっています。

cowcamo事業

家を買うのは大きな決断なので、不動産の敷居を下げて、「買うかもしれない」人たちが集まれる場所をつくりたいと始めたのが「cowcamo」です。
首都圏における中古住宅流通市場の拡大と、中古マンションストックにおける築年数の古い物件の増加を背景に、ITを活用したリノベーション・中古住宅流通プラットフォーム「cowcamo」において、オンラインメディア「cowcamo.jp」を通じてリード獲得し、不動産のプロであるカウカモエージェントが売り手と買い手をマッチングして不動産の売買仲介をしています。
また、顧客と物件に関するマーケットデータを持つことで、「世の中にどんな物件を供給したら響くのか」が分かるデータベースを自社で開発し、事業者向けに情報提供することで、社会に求めてられている質の高い住宅が増えていくという循環を作っています。

さらに、この市場には日本特有の「社会課題」があり、開発する余白のない都心中心部、高度経済成長期以降に供給され住み手の離れた築数十年のマンションを尻目に、郊外では新築マンションが次々と建ち、無理をしてスクラップ&ビルドを繰り返しています。
そこで、「cowcamo」は、中古マンションをリノベーションによって再流通することで、ストック活用型の持続可能な社会を実現することを目指しています。

シェアードワークプレイス事業

東京23区のオフィスビルの空室率は低い水準でオフィス需要は堅調な状態にある中で、国内のフリーランス人口は拡大しており、また、働き方改革の一環として、テレワークの導入推進等の影響を背景に、リノベーションしたオフィス空間に様々なサービスを組み合わせた「働く場」をサブスクリプション型のサービスとして提供するワークスペースのシェアリングサービスを中心とした事業展開をしています。
スタートアップ、個人事業主、クリエイターなどの「チャレンジする人・組織」を主要な顧客としたコワーキングスペース「co-ba(コーバ)」、成長中のスタートアップ向けに企業の成長や変化に合わせて柔軟にオフィススペースをレンタルすることができる「HEYSHA(ヘイシャ)」の2つのサービスを提供する他、ワークスペースの仲介・設計等の受託サービスも展開しています。

ツクルバの事業

cowcamo事業

住宅の購買体験は、ユーザーにとって非常に大きな意思決定であり、決してオンラインだけでは完結しません。
だからこそ、オンラインとオフラインそれぞれの体験をシームレスにデザインし、「難しい」不動産取引を、理想の暮らしを実現する「ワクワク」する体験へと昇華させることで、熱量のあるファンを生み出し、「他の人にも紹介したい」という熱量が高まる体験を提供できたそうです。

デザインファームだったツクルバが、 Jカーブを駆け上がるスタートアップになるまでの軌跡

また、従来は、再販事業者が売主から物件を買取り、リノベーションを施して再販する「買取/企画開発」のプロセス、不動産ポータルサイトの運営事業者が物件情報を掲載する「情報流通」のプロセス、不動産売買仲介事業者を通じて買主が中古住宅を購入する「不動産流通」のプロセスが、それぞれ別の事業者に分散して行われていました。
そこで、cowcamoでは、中古住宅流通のバリューチェーン(リノベーションマンションの企画開発、情報流通、不動産流通の一連のプロセス)をテクノロジーを用いて統合することで、一貫した顧客体験と業務の生産性向上を両立しています。

  • 従来の店舗やチラシ、物件情報検索サイトではなく、ソーシャルメディア等のチャネルに特化して、独自に撮影した画像や取材記事を中心としたコンテンツ型メディアとして情報提供
  • ネイティブアプリを開発し、独自の物件情報データベースからユーザーの嗜好にあった物件を選定・提案したり、住宅購入検討の際にエージェントとのコミュニケーションをオンラインチャット上で提供
  • 顧客管理、顧客への提案支援、顧客とのアポイントメント、業務の優先度管理等の一連の業務フローを自社開発によりシステム化することで、各々の業務プロセスにおいて高い生産性を実現するとともに、非熟練者でもオペレーションを遂行できることから事業拡大に柔軟に対応可能な組織の拡張性を実現
  • データを蓄積・解析・活用することで、ユーザーのニーズの分析や、最適なリノベーション企画の立案、販売価格の推計等が可能となり、サービスを利用する売主・事業者に対してリノベーション物件の商品企画や販売支援などの業務支援サービスを提供

これによって、熱量のあるファンを生み出し、中古住宅流通のバリューチェーンを統合することで、伝統的な不動産売買仲介事業者や不動産ポータルサイトの運営事業者との差別化に成功し、順調にファンを増やして、2018年には年間利用者数100万人を越え、会員数は数万人規模に拡大しました。

このように、cowcamoは、中古マンション購入における一連の顧客体験の統合によって、ユーザーのエンゲージメントを高めて会員数の拡大を図っています。
ユーザーが集まることにより、反響が集まり、早く適切な価格で売れる状態となり、それによって「cowcamo」に登録する売主が増加し、売主の増加によってユーザーが望む住宅が増える、というサイクルを実現しています。

シェアードワークプレイス事業

既に内装や家具が施された空間に様々なソフトサービスを統合した「働く場」を一定期間単位で利用可能にし、「co-ba(コーバ)」は月単位または一日単位、「HEYSHA(ヘイシャ)」は月額のサービス利用料という形で、サブスクリプションモデルを採用しています。
また、「co-ba(コーバ)」「HEYSHA(ヘイシャ)」のメンバーは、オフィススペースの利用だけでなく、様々なイベントやメンバー向けのオンラインサイトにて交流できます。

ツクルバの資金調達について

上場時のツクルバの資金調達額は公募(新しく発行した株を投資家に買ってもらうこと)で1,096百万円、また、売出(創業者などの大株主の保有している株の一部を投資家に買ってもらうこと)は2,829百万円です。
上場時のツクルバの株主は、創業者の村上氏が23.43%、中村氏が22.27%の株式を所有し、次いで株式会社エイチが10.27%、合同会社エムが10.27%、株式会社アカツキが6.41%を所有しています。

  • 2015年1月:100百万円(発行済株式総数の約5%)
  • 2016年1月:100百万円(発行済株式総数の約6.7%)
  • 2018年4月:146百万円(発行済株式総数の約2.2%)
  • 2018年4月:200百万円(発行済株式総数の約2.0%)
  • 2018年5月:148百万円(発行済株式総数の約1.5%)
  • 2018年6月:197百万円(発行済株式総数の約2.0%)

ツクルバの時価総額について

ツクルバの上場時の公募・売出価格は2,050円、上場時の発行済株式総数は9,331,700株であり、時価総額は19,129百万円となりました。

まとめ

今回は、株式会社ツクルバが短期間で上場した経緯をまとめました。

なお、IPOを行なうと、一般投資家が株主となることから、上場時の審査の際には会社の管理体制等についても厳しくチェックされます。
そのため、IPOを目指す際には、IPO準備にも力を入れる必要があるのですが、このあたりについて関連する記事がありますので、こちらも是非ご参考にして下さい。
スタートアップのIPO準備(上場準備)について