株式会社メルカリ設立からIPOまで

株式会社メルカリ設立からIPOまで

株式会社メルカリ設立からIPOまで

本記事のテーマ

近年IPOに成功したスタートアップの内、特に設立から短期間で上場した会社をピックアップして、どのような会社が短期間で上場するのか、短期間で上場するためにはどのようなことが必要なのかという視点で、設立からIPOまでのタグで連載しています。
なお、スタートアップの各ステージ(Seed〜SeriesC)において注意すべきことという記事で、会社設立からIPOを目指す上での大きな流れを記載していますので、是非ご参考にして下さい。
今回は、設立から上場までの期間が短く、かつ、日本で数少ないユニコーン企業となった株式会社メルカリです。

株式会社メルカリ

メルカリは設立から約5年の短期間で上場し、日本で数少ないユニコーン企業としても有名です。
創業者である山田進太郎氏は、大学在学中に楽天オークションの立ち上げを経験後、ウノウを設立してWebサービスやソーシャルゲームを企画・開発し、ウノウをアメリカのZyngaに売却した後、2013年2月にメルカリを設立しました。

メルカリの沿革について

以下は、メルカリの有価証券報告書やHPのニュース等から、メルカリの沿革を抜粋してまとめたものです。
https://about.mercari.com/

  • 2013年7月:CtoCマーケットプレイス「メルカリ」(iPhone版とAndroid版の両方)のローンチ
  • 2014年1月:米国子会社設立
  • 2014年4月:カスタマーサポートセンターを仙台に設立
  • 2014年9月:米国子会社がCtoCマーケットプレイス「Mercari」をローンチ
  • 2014年10月:日本の「メルカリ」で商品代に応じた手数料の徴収を開始
  • 2015年4月:配送サービスの「らくらくメルカリ便」を開始
  • 2015年11月:英国子会社設立
  • 2016年10月:米国の「Mercari」で商品代に応じた手数料の徴収を開始
  • 2017年2月:カスタマーサポートセンターを福岡に設立
  • 2017年3月:英国子会社がCtoCマーケットプレイス「Mercari」をローンチ
  • 2017年4月:配送サービスの「大型らくらくメルカリ便」を開始
  • 2017年5月:本・CD・DVD等に特化したCtoCマーケットプレイス「メルカリ カウル」をローンチ
  • 2017年6月:配送サービス「ゆうゆうメルカリ便」を開始
  • 2017年7月:ライブ動画配信「メルカリチャンネル」開始
  • 2017年8月:ブランド品に特化したCtoCマーケットプレイス「メルカリ メゾンズ」をローンチ
  • 2017年11月:国内子会社株式会社メルペイ設立、即時買取サービス「メルカリNOW」をローンチ
  • 2018年2月:福岡でシェアサイクルサービス「メルチャリ」の提供開始
  • 2018年4月:スキルシェアサービス「teacha」の提供開始
  • 2018年6月:東証マザーズ上場

メルカリが解決した課題とプロダクト(CPFとPSF)

CPF(Customer Problem Fit)やPSF(Product Solution Fit)については、関連する記事スタートアップの各ステージにおいて注意すべきことをご覧ください。
スタートアップの各ステージにおいて注意すべきことという記事で紹介した通り、スタートアップのSeed期においてまず大事なのは、解決課題がMust Haveなのか、ソリューションは明確かという点です。
この点、メルカリが解決した課題は、「一度買ったものを高く売りたい」という課題で、シェアリングエコノミーが普及する時代背景とマッチしたサービスです。メルカリ創業以前も、買ったものや使ったものを融通しあう「中古」の市場は存在しましたが、メルカリは中間のお店を通さず生活者同士がダイレクトにつながりあうプラットフォームを作りました。
沿革から分かる通り、メルカリはローンチ当初からスマートフォンでの使用を前提にプロダクトをデザインしています。想定したペルソナがスマートフォンでプロダクトを使用することを想定してのことですが、商品の写真を撮影するところから出品手続き、売上の管理など一連の流れをスマートフォンで完結できるようになっています。
また、CtoCのプラットフォームを目指していたメルカリは、業者と認定した出品者を検索結果に表示されないようにして、一般利用者同士の取引に限定したプラットフォームを提供しています。これは、業者が出品すると一般のユーザーが気軽に出品しづらくなるであろうという配慮のもと行われた戦略です。
メルカリが出品者と購入者の間に立ち、お金のやり取りを管理することで、商品が届かなかったり、思っていた商品と違うものが届いたといったトラブル発生を防止しています。

メルカリのサービス成長とマーケティング戦略について

メルカリの提供するサービスの成長については以下のとおりです。

  • 2013年12月頃:100万DL
  • 2014年4月:200万DL
  • 2014年6月:300万DL
  • 2014年7月:400万DL
  • 2014年9月:500万DL
  • 2014年10月:日本の「メルカリ」で購入された商品代の原則10%を、出品者から手数料として徴収開始
  • 2014年11月:600万DL
  • 2015年2月:1,000万DL
  • 2015年11月:2,000万DL
  • 2016年6月:3,000万DL
  • 2016年9月:日米通算5,500万DL
  • 2016年10月:米国の「Mercari」で購入された商品代の原則10%を、出品者から手数料として徴収開始
  • 2017年時点
    全世界ダウンロード数が1億超

日本の「メルカリ」については、2015年6月時点で、MAU(登録Monthly Active User)が0.8百万人で流通総額が80億円だったのが、2018年6月時点ではMAUが10.7百万人で流通総額は1,020億円と約13倍に成長しており、株式会社メルカリ単体の売上高は、2015年6月期は4,237百万円だったのが、2018年6月期は33,424百万円と約8倍に成長しています。
当初、楽天の「ラクマ」がメルカリより1年早くローンチしており、また、その他10社以上競合がいるという状況で、2014年3月から5月にかけて、大型の資金調達やテレビCMなどの施策を行い、DL数が急増しています。
これについて、社長兼COOの小泉氏によると、2013年の年末からCMを制作していて、ファイナンスのタイミングをずっと伺って、2014年3月に約15億円の資金調達ができたので、その年の5月にテレビCMを打ったそうです。
また、小泉氏によると、サービスが200万DLくらいまで伸びていると口コミも含めてワークするため効果があり、2014年4月末に200万DLを突破したタイミングで、資金調達した15億円のうち約1/3にあたる費用を、テレビCMに3億円、オンライン広告に1.5億円費やし、東京のカスタマーサービスセンターだけではパンクするだろうと見越して、CM放映前の4月に仙台オフィスを設けたようです。

また、ヤマト運輸に「らくらくメルカリ便」を提案したのも2014年の2月で、ユーザーの体験価値をより高めるためには、アプリ内だけではなく配送面というリアルな部分を強化する必要があると判断し、小泉氏が新卒で入った証券会社の上司にお願いし、ヤマト運輸の重役を紹介してもらったそうです。

メルカリ激動の5年間は挑戦の連続だった。日経編集委員の奥平氏がメルカリ小泉に切り込む『THE BUSINESS DAY 02』レポ

さらに、プロダクトをスケールする段階では、PMF(Product Market Fit)を達成していることが必要です。PMFの詳細については、関連する記事スタートアップの各ステージにおいて注意すべきことをご覧ください。
PMFは、ユニットエコノミクスを健全化することと、プロダクトをスケールした際にユーザーが満足いく水準に達していることが重要です。また、スタートアップにおいては、リソースが限られていることから、売上を再投資することができるサイクルができているのが望ましいです。
この点、TVCM放送時点ですでに一定のユーザーを獲得して反響が得られていたことや、カスタマーサポートセンターの新設等によって、カスタマーサポートを充実させ、プロダクトのスケールにあたっての負荷を吸収していることから、TVCM効果による急激な成長にも耐えうる体制になっています。
また、メルカリは、前述したようにユーザーの不安を払拭するために出品者と購入者の間に立っているのですが、出品者は売上を手数料無料で換金するために一定以上の売上をあげる必要があります。このおかげで、メルカリが購入者からお金を受け取って、出品者に支払うまでにタイムラグが有ることから、そのお金を再投資へも回す事ができます。

メルカリの資金調達等

上場時のメルカリの資金調達額は公募(新しく発行した株を投資家に買ってもらうこと)で54,478百万円、また、売出(創業者などの大株主の保有している株の一部を投資家に買ってもらうこと)は67,664百万円です。
上場直後の2018年6月末時点において、創業者の山田氏は27.48%の株式を所有し、ユナイテッド株式会社が7.76%、富島氏が6.72%を所有しています。
ユナイテッド株式会社は、2013年8月に220百万円を出資しています。また、富島氏はメルカリの創業メンバーです。

過去の資金調達については、以下のとおりです。

  • 2013年3月:10百万円
  • 2013年6月:50百万円
  • 2013年8月:220百万円(発行済株式の約14%)
  • 2014年3月:1,450百万円(発行済株式の約18%)
  • 2014年9月:1,007百万円(発行済株式の約5%)
  • 2014年9月:1,353百万円(発行済株式の約5%)
  • 2016年3月:8,359百万円(発行済株式の約7%)
  • 2018年3月:5,000百万円(発行済株式の約2%)

メルカリの上場時点の時価総額等

株式会社メルカリの時価総額は、過去の資金調達から推測すると、2016年3月時点で既に119,414百万円(8,359百万円÷7%)となっています。
また、上場時の公募・売出価格は3,000円、上場時の発行済株式総数は135,331,322株であり、時価総額は405,993百万円となりました。

まとめ

今回は、株式会社メルカリがユニコーン企業となり、短期間で上場した経緯をまとめました。

なお、IPOを行なうと、一般投資家が株主となることから、上場時の審査の際には会社の管理体制等についても厳しくチェックされます。
そのため、IPOを目指す際には、IPO準備にも力を入れる必要があるのですが、このあたりについて関連する記事がありますので、こちらも是非ご参考にして下さい。
スタートアップのIPO準備(上場準備)について